●笑顔が一番 

ここベルギー・ブリュッセルに暮らし始めて1年半が経ちました。相変わらずフランス語はサッパリですが 
それでもなんとか日常生活には慣れ 日本とは違った暮らしを楽しんでいます。
日曜日にほとんどのお店が閉まっていることや、飲料水は買わなければならないこと、バスやトラム(路面電車)、
メトロ(地下鉄)では自分でドアを開けなければならないこと(バスやトラムはボタン式ですが、メトロではエイっと力を入れて取っ手を引きます)、
車は右側通行、路上駐車が多いこと、などなど最初は戸惑い、不便に思うことも多かったけれど、住めば都、日本と違ってのんびりした
空気は結構私には合っているようです。
ここで気に入っていることの一つに、外へ出ると見知らぬ人の笑顔(と挨拶)に出会うこと、が挙げられます。笑顔だけでなく、
ちょっとした他人への気遣いにホッと心が和むことがよくあります。道路を渡ろうとしていと 車の多くが止まってくれますが 
その時 ありがとう、の意味を込めて ちょっと手を挙げます。運転している人を見ると目が会って、どうぞ、という表情だったり、
互いに笑顔を交わしたりすることがあり、そういうことがなんだか嬉しく、気持ちよく感じられます。
日本にいた頃、他人の笑顔はもちろん、必要最低限の譲り合う言葉さえ惜しんでいるかのようなぎすぎすした空気がとても気になって
いましたので、ここへ来てそういった点で心がなごむ感じがします。こういう雰囲気を日本の今の子どもたちは知らないと思うと、
これは 大人の責任ではないかな、と感じます。
昨年末、一時帰国した時とても気になったのは、不況のせいかもしれませんが、皆 表情が厳しく、疲れたような顔をしていて 
笑顔が見当たらなかったことです。子どもにも笑顔が少ないように感じました。ある時 地下鉄に乗っていたら、
乗り込んできた親子連れのお母さんが、怒ったような、不機嫌な顔をしていて 二人の子どもも浮かない表情だったのがとても気になりました。
その幼稚園くらいの妹が 車内が揺れたときバッグにしがみついたのを母親が「しっかり立ってなさい」叱りつけ、
小学2年生くらいの兄が「僕につかまればいいよ」と言ったその瞬間にだけ その女の子は笑顔を見せました。
あとはずっと無表情に近い顔をしていて、小さな子どもがこんな顔をしているなんてと悲しくなり「お母さん、
笑ったほうが素敵ですよ」と声をかけたくなったくらいです。

もっと驚いたのは この話を以前住んでいた社宅の子どもを持つお母さんたちに話したところ、
「幼稚園の○○くんのお母さんは『うちの子はめったに笑わないの』と自慢(!)していた」と言うのでどういうことか聞いたところ
「『うちの子は笑顔の安売りはしないの』と自信を持って言っていた」という話を聞き仰天しました。笑顔の安売り!?
その人は笑顔をどう思っているのでしょう?本当にびっくりして そんな親に育てられたら子どもはかわいそうだなあ 
と、ため息がでました。

大人に笑顔がないと 子どもにも笑顔がなくなってしまいます。子どもは社会の鏡 
と聞いたことがありますが 今の世の中、嫌な事件や悲しいニュース、不況で先が見えない不安があるとは思いますが 
笑顔でいたほうが気持ちも明るくなるように思いませんか?

さ、あなたも にっこり!

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