○「弁護士報酬の敗訴者負担制度導入」

これは裁判で負けたものが 相手の弁護士報酬を支払わなければならないという制度です。
現在司法制度改革のうちの一つとして制度の導入について検討されているものですが、
日々の暮らしの中で裁判というとあまり身近に感じるものではないので 導入されればそんなものだと思ってしまうかもしれません。
これについてはさまざまな見方もあると思いますが 敗訴した場合の相手の弁護費用まで負担を覚悟するとなると 
いざ訴えようという時、結果が見えない裁判を前に、費用の不安から裁判を諦め 泣き寝入りをする場合が予想されます。
 勝訴した側から見れば合理的な制度のように見えますが、たとえば消費者訴訟、労働訴訟、住民訴訟、公害・環境訴訟、医療訴訟等々、
さまざまな分野でこれまで敗訴のリスクを覚悟の上で積み重ねられ、これまで認められなかった権利が広く認められてきましたが、
この制度のもとでは多くの人は訴訟に踏みきれなくなるかもしれません。
 市民の側、弱い立場から行政や企業などの暴走に歯止めをかけるための一石を投じるような裁判は 
今後極めて難しくなるのではと心配です。ことに企業など費用の負担に不安の無い強いものの側が、高い費用を出して
有能な弁護士を雇うことができるのではないかと思うと こんなところでも個人や弱いものがいっそう不利になる気がして 
いざというとき裁判も弱者の見方とは言いがたい世の中になるかと不安に思います。
たまたま知りえたことですが、日本の新聞などではあまり取り上げられていないらしく、友人に聞いても知らない人がほとんどなので 
ここに書きました。この二つを繋げてみると、どうも日本の社会は 弱いものにますます厳しくなっていくようで心配です。
いつ交通事故に遭って介助が必要になるかもしれないし、医療訴訟や消費者訴訟の当事者になることもあり得ることです。
関係ないとはいえない問題です。

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